児童性愛者―ペドファイル

児童性愛者―ペドファイル

世界で唯一、合法であるデンマークの「児童性愛愛好者協会」。フリージャーナリストである著者が、児童性愛者(ペドファイル)の実体を探るために、「児童性愛愛好者協会」に潜入取材を行った。その詳細を綴る。

ちとしたことをキッカケに読んでしまった。非常におぞましいので読もうと思う人は要注意。

老ヴォールの惑星

老ヴォールの惑星」が面白い!超絶お薦め。

少し厚めの文庫に4編を納めた作品集。短編と長編の間くらいの作品群は、どれも凄まじく面白い。SFと言われるが、描かれる世界の独自性と美しさは、ひとつのジャンルに縛られない素晴らしさを持つ。先ず読んで。そして僕と感想を語り合いましょう。

著者、小川一水は1975年生まれ。同年代だ。ひょっとしたら自分と同じ影響を受けてきているかもしれない。例えば、星新一の描く世界のように、SF(科学)に偏らない物語、人の美しさ、不可思議な世界。映画の影響も大きいと思う。読んでいて連想したのは「CUBE」や「ソラリス」や「マトリックス」など。

ある小説の(悲劇的な)ラストを書き換えたいと思ったことが、小説家を目指したきっかけだと著者自身は言う。確かに、これまでにある常識や結末を覆そうとする、またはより深く考えてみようとする試みに溢れている。それに共感しようとしまいと、読めばきっと何かを考えさせられる。

繰り返しになるが、SFとしての面白さは約束されている。さらにそれ以上の感動がある。前知識なくていい。ぜひ、今すぐ読んで欲しいと思う。

興奮しきりなので補足。

表題作「老ヴォールの惑星」は「SFが読みたい!」誌の2006年版・年間ベストSF・国内編で堂々第1位の作品。さらに他の3作品もそれに劣らない。(僕は「ギャルナフカの迷宮」という一遍が最も面白かった)

原語が日本語だから、言葉の美しさも実感できる。

さらに余談。「老ヴォールの惑星」を読み始めると表紙の絵を何度か見直すはず。

才能ある人によって映像化されないかな…。

サイバーパンク最高峰マンガ「BLAME!」

BLAME! (ブラム!)」(全10巻)
NOiSE」(全1巻)
BLAME! and so on- 弐瓶勉画集

僕が最高だと思うサイバーパンクを挙げるなら、真っ先に小説の「ニューロマンサー」が来る。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と、これを原作にした「ブレードランナー」も堅い。アニメからは「甲殻機動隊」、それをインスパイアした映画「マトリックス」あたりは誰もが認めるところだろう。

そもそもサイバーパンクとは何か。コンピュータが支配する(近)未来社会を描くもの。もう少し具体的に言えば、人体や精神に機械的な進化が付加され、それが普遍化した世界で人がより大規模な存在、例えばコンピュータネットワークなどと関係していく描写を主題としたもの。これが僕の理解。付け加えると、その位置付け故に退廃的な内容である場合が多いが、そればかりをクローズアップしているものは邪道に思う。

この前提から先述した作品に並ぶマンガがある。それが「BLAME!」だ。

数年前、表紙に惹かれ手にした単行本、その1冊に心奪われた。

果てしなく巨大な階層都市の中を、探索者・霧玄(キリイ)が何千フロアも放浪する。求めるものは「感染前」の「ネット端末遺伝子」。手にするのは無敵の銃「重力子放射線射出装置」。

読み進めても物語や世界観はなかなか掴めない。読者に与えられる情報が断片的で確定要素に欠けるからだ。舞台である階層都市だけが圧倒的な存在感を持つ。その中で想像力を必死に働かせながら、次々にエピソードを追うことになる。少しでも謎に迫りたいと繰り返し読むうちに、自分自身が「BLAME!」世界の探索者になっていることに気付く。

著者は「大きな世界の片隅で起こった小さなエピソードを切り取って見せただけ」だと言う。前知識は不要。まずは手に取り、想像力を働かせよう。唸るほどの面白さが約束されている。

「NOiSE」は「BLAME!」を補完する作品と言える(と言っても書かれたのは「BLAME!」より以前)。混乱と狂気に陥る前の秩序が保たれていた時代が描かれている。理解の順番としては「NOiSE」を先に読む方が判り易いが、何度も「BLAME!」を彷徨ってから読むとさらにに面白い。

「BLAME! and so on- 弐瓶勉画集」は涙もの。単行本は基本的に白黒印刷なので、読んでいるうちにこの世界はモノトーンなのかと思い始める…そこに、鮮やかに彩られたが世界が広がる。もう驚嘆。また、著者と編集者による設定・解説文が僅かに掲載されている。全ては解き明かされないが、この世界の謎をずっと考えてきた人間にとっては、確信となることが語られていて嬉しい。

参考:BLAME!(Wikipedia)