「半落ち」を読む。
最終章を読んでいるとき涙が止まらないでやんの。良い小説だった。ひとつの事象を複数の視点から描く手法は「羅生門」を思い出した。お薦め。
「半落ち」を読む。
最終章を読んでいるとき涙が止まらないでやんの。良い小説だった。ひとつの事象を複数の視点から描く手法は「羅生門」を思い出した。お薦め。
世界で唯一、合法であるデンマークの「児童性愛愛好者協会」。フリージャーナリストである著者が、児童性愛者(ペドファイル)の実体を探るために、「児童性愛愛好者協会」に潜入取材を行った。その詳細を綴る。
ちとしたことをキッカケに読んでしまった。非常におぞましいので読もうと思う人は要注意。
「エド・ウッドサイテー映画の世界」を読む。
わはは…ここに書かれた偏った見方は大笑い。映画に飽きてきたと言う人は目からウロコの視点を与えてもらえる。映画への観念が変わりそうで怖いほど。超サブカルチャ本。
「老ヴォールの惑星」が面白い!超絶お薦め。
少し厚めの文庫に4編を納めた作品集。短編と長編の間くらいの作品群は、どれも凄まじく面白い。SFと言われるが、描かれる世界の独自性と美しさは、ひとつのジャンルに縛られない素晴らしさを持つ。先ず読んで。そして僕と感想を語り合いましょう。
著者、小川一水は1975年生まれ。同年代だ。ひょっとしたら自分と同じ影響を受けてきているかもしれない。例えば、星新一の描く世界のように、SF(科学)に偏らない物語、人の美しさ、不可思議な世界。映画の影響も大きいと思う。読んでいて連想したのは「CUBE」や「ソラリス」や「マトリックス」など。
ある小説の(悲劇的な)ラストを書き換えたいと思ったことが、小説家を目指したきっかけだと著者自身は言う。確かに、これまでにある常識や結末を覆そうとする、またはより深く考えてみようとする試みに溢れている。それに共感しようとしまいと、読めばきっと何かを考えさせられる。
繰り返しになるが、SFとしての面白さは約束されている。さらにそれ以上の感動がある。前知識なくていい。ぜひ、今すぐ読んで欲しいと思う。
興奮しきりなので補足。
表題作「老ヴォールの惑星」は「SFが読みたい!」誌の2006年版・年間ベストSF・国内編で堂々第1位の作品。さらに他の3作品もそれに劣らない。(僕は「ギャルナフカの迷宮」という一遍が最も面白かった)
原語が日本語だから、言葉の美しさも実感できる。
さらに余談。「老ヴォールの惑星」を読み始めると表紙の絵を何度か見直すはず。
才能ある人によって映像化されないかな…。
「BLAME! (ブラム!)」(全10巻)
「NOiSE」(全1巻)
「BLAME! and so on- 弐瓶勉画集」
僕が最高だと思うサイバーパンクを挙げるなら、真っ先に小説の「ニューロマンサー」が来る。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と、これを原作にした「ブレードランナー」も堅い。アニメからは「甲殻機動隊」、それをインスパイアした映画「マトリックス」あたりは誰もが認めるところだろう。
そもそもサイバーパンクとは何か。コンピュータが支配する(近)未来社会を描くもの。もう少し具体的に言えば、人体や精神に機械的な進化が付加され、それが普遍化した世界で人がより大規模な存在、例えばコンピュータネットワークなどと関係していく描写を主題としたもの。これが僕の理解。付け加えると、その位置付け故に退廃的な内容である場合が多いが、そればかりをクローズアップしているものは邪道に思う。
この前提から先述した作品に並ぶマンガがある。それが「BLAME!」だ。
数年前、表紙に惹かれ手にした単行本、その1冊に心奪われた。
果てしなく巨大な階層都市の中を、探索者・霧玄(キリイ)が何千フロアも放浪する。求めるものは「感染前」の「ネット端末遺伝子」。手にするのは無敵の銃「重力子放射線射出装置」。
読み進めても物語や世界観はなかなか掴めない。読者に与えられる情報が断片的で確定要素に欠けるからだ。舞台である階層都市だけが圧倒的な存在感を持つ。その中で想像力を必死に働かせながら、次々にエピソードを追うことになる。少しでも謎に迫りたいと繰り返し読むうちに、自分自身が「BLAME!」世界の探索者になっていることに気付く。
著者は「大きな世界の片隅で起こった小さなエピソードを切り取って見せただけ」だと言う。前知識は不要。まずは手に取り、想像力を働かせよう。唸るほどの面白さが約束されている。
「NOiSE」は「BLAME!」を補完する作品と言える(と言っても書かれたのは「BLAME!」より以前)。混乱と狂気に陥る前の秩序が保たれていた時代が描かれている。理解の順番としては「NOiSE」を先に読む方が判り易いが、何度も「BLAME!」を彷徨ってから読むとさらにに面白い。
「BLAME! and so on- 弐瓶勉画集」は涙もの。単行本は基本的に白黒印刷なので、読んでいるうちにこの世界はモノトーンなのかと思い始める…そこに、鮮やかに彩られたが世界が広がる。もう驚嘆。また、著者と編集者による設定・解説文が僅かに掲載されている。全ては解き明かされないが、この世界の謎をずっと考えてきた人間にとっては、確信となることが語られていて嬉しい。