サイバーパンク最高峰マンガ「BLAME!」

BLAME! (ブラム!)」(全10巻)
NOiSE」(全1巻)
BLAME! and so on- 弐瓶勉画集

僕が最高だと思うサイバーパンクを挙げるなら、真っ先に小説の「ニューロマンサー」が来る。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と、これを原作にした「ブレードランナー」も堅い。アニメからは「甲殻機動隊」、それをインスパイアした映画「マトリックス」あたりは誰もが認めるところだろう。

そもそもサイバーパンクとは何か。コンピュータが支配する(近)未来社会を描くもの。もう少し具体的に言えば、人体や精神に機械的な進化が付加され、それが普遍化した世界で人がより大規模な存在、例えばコンピュータネットワークなどと関係していく描写を主題としたもの。これが僕の理解。付け加えると、その位置付け故に退廃的な内容である場合が多いが、そればかりをクローズアップしているものは邪道に思う。

この前提から先述した作品に並ぶマンガがある。それが「BLAME!」だ。

数年前、表紙に惹かれ手にした単行本、その1冊に心奪われた。

果てしなく巨大な階層都市の中を、探索者・霧玄(キリイ)が何千フロアも放浪する。求めるものは「感染前」の「ネット端末遺伝子」。手にするのは無敵の銃「重力子放射線射出装置」。

読み進めても物語や世界観はなかなか掴めない。読者に与えられる情報が断片的で確定要素に欠けるからだ。舞台である階層都市だけが圧倒的な存在感を持つ。その中で想像力を必死に働かせながら、次々にエピソードを追うことになる。少しでも謎に迫りたいと繰り返し読むうちに、自分自身が「BLAME!」世界の探索者になっていることに気付く。

著者は「大きな世界の片隅で起こった小さなエピソードを切り取って見せただけ」だと言う。前知識は不要。まずは手に取り、想像力を働かせよう。唸るほどの面白さが約束されている。

「NOiSE」は「BLAME!」を補完する作品と言える(と言っても書かれたのは「BLAME!」より以前)。混乱と狂気に陥る前の秩序が保たれていた時代が描かれている。理解の順番としては「NOiSE」を先に読む方が判り易いが、何度も「BLAME!」を彷徨ってから読むとさらにに面白い。

「BLAME! and so on- 弐瓶勉画集」は涙もの。単行本は基本的に白黒印刷なので、読んでいるうちにこの世界はモノトーンなのかと思い始める…そこに、鮮やかに彩られたが世界が広がる。もう驚嘆。また、著者と編集者による設定・解説文が僅かに掲載されている。全ては解き明かされないが、この世界の謎をずっと考えてきた人間にとっては、確信となることが語られていて嬉しい。

参考:BLAME!(Wikipedia)

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