午前三時のルースター

午前三時のルースター」を読む。

第17回サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作。旅行代理店勤務の俺は失踪した父親を探す少年に同行しベトナムを訪れる。現地の娼婦や運転手の協力で俺達が知った切ない真実とは…

ワイルド・ソウル」をきっかけに読みはじめた垣根涼介。僕のツボを付いてくる。

彼の作品の持ち味は何といっても疾走感。物語の前半でばらまかれた複線が、後半でいっきに収束していく展開がたまらない。デビュー作でありながらその特徴は健在。少々リアリティに欠ける強引な展開だったけど。またそのスピード感の中にも、父子の思いや、人生の意義など、しっかりしたテーマが飽和されているからなお面白い。

蛇足。格好良いマシン(車やバイク)の描写もたまらなく嬉しい。ブル510にZのL26エンジンって…知識がなくても男はニヤニヤしちゃうのではないか。

2000年発表の本作と、2004年発表の「ワイルド・ソウル」を比べると、著者がものすごい勢いで成長していることが判るり、今後も期待せずにはいられない。幸いなことに作品数はまだ少ないので片っ端から読んでおくつもり。来年、何作か映画化に向かうらしいし。

切腹

切腹」を読む。

400を超える切腹の例が書かれている史実の本。精神論云々ではなく、生々しい切腹文化のありようが判る。日本人の責任の取り方を考えるには面白いアプローチかと。

(余談)カテゴリー分けに悩む。史実に忠実な史料なので社会科学で。

ZOO1

ZOO1」を読む。

話題の新鋭作家と言うので読んでみた。軽くてピンとこない。人間の狂気を描いたものはいくらでも上がある。例えば、虐待を書いた「カザリとヨーコ」をすごいと言うなら「隣の家の少女」を。比較にならないほどのトラウマになるよ。