投稿者: momozome

  • 手紙

    手紙」が文庫になったので読んだ。良かった。

    強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。

    加害者とその家族の側から描かれていて斬新。またそれは非常に重いテーマを扱った作品だった。

    くり返し描写される犯罪者とその家族に対する差別は、現実社会で確かにあることだろう。普通の人間は自分とその家族を守るために、普通ではないもの、犯罪者からできるだけ距離を置こうと思うのは当然だ。近親者から犯罪者が出たとき、また、近親者に犯罪者を持つ人と出遭ったとき、果たして自分はどうするだろうか。ずっと考えながら読んだ。

    ただ、どこか物足りなさを感じる。皮肉ではなく描写が巧みすぎるので、読者の心を動かす前に余分な説明をしてしまう。その割に登場人物の描写がぞんざい。そして作品としての結論に癖がない。直木賞を契機に「容疑者Xの献身」、続けて「秘密」「探偵ガリレオ」「時生」を手にしたが、いずれも同じ感想を抱いた。

    これが東野圭吾の作風と言えば相性の問題だが、あと一歩踏み込んでくれると読み甲斐が出て嬉しい。その一歩を描きたいと思う人が映像化しているのなら、映画も観てみようかと思った。

    (関連)
    「時生(トキオ)」を読んで自分の進む道を思う

  • 父親たちの星条旗

    アメリカから見た硫黄島「父親たちの星条旗」を観る。先ずは良い映画だった。しかしこの作品は二部作であり、日本から見た硫黄島「硫黄島からの手紙」を観るまで結論は保留したい(理由後述)。

    スクリーンに映し出される戦場は壮絶。僕の中で最も戦場に赴く恐怖を感じた映画「スターリングラード」に迫る。そしてリアリティではそれを超える。エンドロールで実際の写真が多く映し出されるのだが、今観ていた映像がいかに現実に則したものだったかを知る。すごい。

    映画の内容は語り手の言葉で全て示されている。それは「事実を伝える」ということ。真実、真相と言うのではなく事実だ。人や国や世界の思惑、後の時代の人(=我々)による考察などを一切排除して、淡々と事実を描くことに注力している。ある意味、ドキュメンタリーとも言えるかも。

    誇張された悲壮さも、華美された感動もなく、そもそも物語ではなく、故に英雄はいない。だから映画を観た人そのものが問われると思う。そして願わくば、多くの人に反戦の思いが起こるといいな、僕と同じように。

    アメリカから見た硫黄島と副題にある通り、この一本はアメリカの視点から描かれ、日本軍の描写は皆無。当然のことだが戦争は単純に善と悪が対決しているわけではない。なるほど、ひとつの戦争の事実を正確に描くためには、平等なそれぞれの視点が必要なのだ。だから二部作なったのだと納得した。(ただの風変わりな企画映画ではなかった。)

    日本から見た硫黄島「硫黄島からの手紙」が、本作と同じく冷静に描かれていることを期待する。これを観てから改めてこの作品のことを反芻しようと思う。

    (追記)
    ・映画館にはいつもより年配の方が目立った。これも考えさせられたなあ。
    ・低年齢でもいいからR指定あった方が良いと思うシーンちらほら。

  • インド夜想曲

    インド夜想曲」を読む。

    インドが舞台だからではなく、この本そのものが不思議なの。散文的で意味不明な部分が多い。それが物語の魅力となって僕を虜にする。疑問を抱きつつも息も付く間もないまま12夜の出来事を読まされた。

    この物語はある詩の引用からはじまる。

    夜熟睡しない人間は多かれ少なかれ罪を犯している。彼らは何をするのか。夜を現在させているのだ。

    また時々語られる言葉に、はっとすることもある。

    過ぎ去った現実は、大体において、実際にそうだったよりも改善される。

    物語は絶えず一人称で進んでいくのだが、その物語を語る人そのものが、すでに実際にそうだったよりも変化してしまっているのではないか?自分で書いてて意味不明な感じだが…たまにはこんな本も良いと思う。分量も少ないし。

  • インド旅行記(2)南インド編

    インド旅行記(2)南インド編」を読む。

    中谷美紀(Love)著。旅行記ってかエッセイっぽくなってきた。続きが出ると買ってしまう。

  • 宗教常識の嘘

    宗教常識の嘘」を読む。

    ダメ本は普段スルーだが…重大なテーマ掲げたわりに論拠なさすぎ。この本こそが嘘っぽい。島田裕巳、宗教学者とは聞いて呆れる。