投稿者: momozome

  • 生と死の写真集「メメント・モリ」

    メメント・モリ」を観る。

    前出の「百年の愚行」と共に心の奥底に訴えるメッセージを持つ一冊。これは写真と共に、詩が添えられている。ぶっきらぼうで、お世辞にも上手いとは言えないような言葉に、なぜか心が引き裂かれるような思いがする。

    この一冊をきっかけに、僕は藤原新也を追いかけることになる。

    (うんちく)メメント・モリ(Memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句である。

  • ベルカ、吠えないのか?

    ベルカ、吠えないのか?」を読む。

    四頭のイヌから始まる、戦争の世紀を描いた小説。しかしイヌが不必要に擬人化されたり、まして一人称で語るようなことはない。現代史を綴る時、ほんの少しイヌにスポットライトをあてると、こんなにも躍動的な小説となるのか。そして新しい視点から歴史が浮き上がってくるようで関心した。

    古川日出男の作品は初めて読んだが、淡々とした独特の文体が時(歴史)を次々に進めてくれるのが小気味良い。(短文で句読点と改行が多かったり、カタカナを多用する。個人的には好きな作風だが、ここにも直木賞を逃した要因があるのかな)

    イヌよ、イヌ。おまえたちはどこにいる?

    日本推理作家協会賞、日本SF大賞のダブル受賞作。一読の価値あり。

  • こころの対話 25のルール

    こころの対話 25のルール」を読む。

    書いてあることはいちいちもっともで、評価が高いことも頷ける。文体用例が子供っぽいので物足りなさも感じた。実際に悩んでいる人には、このくらい簡素に書かれていた方が良いのか。今悩んでいる人、またはコーチングについて興味があり、子供にコミュニケーションを教える立場の人に向く。

    本書の1/3が「聞く」ことに関して語られる。いかに人は他人の話を聞いていないか、耳の痛いところだった。「アクティブリスニング」という手法は役に立ちそうだ。

  • SYNC-なぜ自然はシンクロしたがるのか

    SYNC-なぜ自然はシンクロしたがるのか」を読む。

    紹介文を読んで惹かれるも、似非科学か雑学本の類だと思ってた。著者は、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学を経て、コーネル大学応用数学科教授、とちゃんとした科学らしい。同期現象=シンクロについて、専門ではない人にも判るように書かれいる本。

    ホタルの同時発光、心臓ペースメーカー細胞の同調、脳波の周波数引き込み、概日周期などの生物的なもの。ホイヘンスの振り子、レーザー発光、惑星間の運動の同調などの物理的なもの。交流発電機の同調や橋のゆれなど工学的的なもの……具体的な例に富み、研究者ではない一般人も楽しめる。興味がある人には一読の価値あり。

    人の精神においても、同期現象ってのはあるのだろうか…真剣に考えてしまう。

    紹介文を紹介。これだけ読むとウサン臭いかもしれないが、科学本。

    無数のホタルがシンクロして光るのも、ポケモンを観ていて子供たちが発作を起こしたのも、「SYNC(=同期)」のせい。このSYNCをめぐる驚くべき科学上の成果を、非線形科学の第一人者が絶妙な比喩を駆使して物語る。

  • 沖で待つ

    沖で待つ」を読む。

    古本屋で安く、芥川賞受賞作(第134回)だったので手にとる。特筆するほど良さは感じないけど、読み手の心を掴むための書き出し、高揚させる展開、静かな終盤。一応、自分の好みではあった。この10年内の芥川を暖かい目で読めるようになったこの頃。ある意味成長と言いたいところ。

    何十年も前に書かれて今に残る本は名著に決まっている。こうやって新しい人の作品を読んでみるのも、たまには、楽しい。年間に短編2つなら苦にもならないし。