投稿者: momozome

  • だまされていた「IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実」を読む

    IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実」を読む。

    知能は、脳という臓器のはたらきだと言うなら、肝臓の具合を示すγGTPのように、数値として測れてもおかしくはない。それどころか、測れたほうが社会的には都合がよいはずだ。さらに近年では遺伝と知能の関係も明らかになってきたらしい。しかし、これは差別や偏見を助長する。そんな理由から、公には、特に日本においてIQはなかなか語られることがない。

    この本では、先ず知能研究に関する歴史が語られる。その中で、僕も小学生の頃受けた記憶のあるIQテストをはじめ、多くの問題点があることが指摘されている。

    しかし研究は進歩を続けている。英国での60年に及ぶ大規模なIQ追跡研究などは面白い。IQが寿命にまで関わっているとの結果が示されている。やはり、頭が良いことは、生き残ること、なのだろうか。

    タブー視される故か、あまり触れる機会の少ない知能研究について、入門的に書かれた興味深い一冊だった。

    (関連)
    心理テストはウソでした(同著者)

  • 七瀬三部作「家族八景」を読む

    筒井康隆「家族八景」を再読。

    18歳の美少女、七瀬は生まれ持ったテレパスにより、他人の心の声を聞くことができる。その彼女はお手伝いとして、8つの家庭に入り込む。以上はネタバレではなく、物語の前提。あえてジャンルを言ってみるなら、SF、ミステリ、サスペンス。いや、これは人間の裏側を描いた恐怖物語だ。ヒューマンドラマと言うにもおどろおどろしい。

    人は心の底に必ず闇を持つ。他人への妬み、恨み、欲望。欲望はエロティックであり、サディスティックであり、グロテスクな感情の渦だ。テレパシーというありきたりな設定を冒頭で暴露した上で、ここまで読む側を引き込む筒井作品の真骨頂。久しぶりに手にした(10年ぶりくらいか)が、その間に僕も、まあ、それなりに人の心を覗く機会もあった。もちろん僕に特別な能力などないけれど。しかし、その経験を積んだ上で再読すると、この小説の本当の恐怖を、より鮮明に感じるようになっていた。

    これは傑作。七瀬三部作の序章にして、一番お気に入り。それでも続いて「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」も読むべく本棚から引っ張り出した。

    (関連)
    七瀬三部作、七瀬ふたたび
    七瀬三部作、エディプスの恋人

  • 「異人伝―中島らものやり口」を読む

    異人伝―中島らものやり口」を読む。

    代表作である「今夜、すべてのバーで」や、すべて直木賞の候補とまりだった「人体模型の夜」「ガダラの豚」「永遠(とわ)も半ばを過ぎて」などの作品が生まれた経緯。もう時効でしょ、と言わんばかりにぶっちゃけた酒とドラッグの日々。ロックの魂。そして愛。内容はこれまでに何度も触れられたエッセイを再構築したものが多い。しかし、過去の作品と違って、本人の素の言葉(大阪弁)で語られている故か、中島らもをとても身近に感じた一冊。

    3人の人間から35歳までに死ぬと宣告され、自身もそう信じていた男の自伝。2004年7月、その死の2ヶ月前に出版されたこの本は、どこか彼の遺言のようにも思える。これからも僕は彼の作品を何度も何度も読み直すだろう。

  • できたら嬉しい「簡単にできる!セロトニン「脳」活性法」を読む

    簡単にできる!セロトニン「脳」活性法」を読む。

    僕が服用している薬は大きく分けて3つ。抗うつ薬、抗不安薬(精神安定薬)、睡眠薬。この内、抗うつ薬は、選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)と呼ばれている。まあ、脳内伝達物質をコントロールする薬。うつになってから知ったセロトニンというもの…このバランスが崩れるといかんらしい。

    ではどうすれば良いのか。自然の通り、朝起きて太陽を浴び、適度な運動と休憩をとり、夜はきっちり眠る。あらためて1冊の本を読んでみても、至極単純、当たり前のこと。何を悩んでいたのか、不思議なくらい。確かに、反省することが多すぎる生活。早寝早起き、お酒は適量に。それを再認識させてもらえた。あとは実戦。

  • 「クトゥルー神話の本―恐怖作家ラヴクラフトと暗黒の宇宙神話入門」を読む

    前々から、と言うか、読んだり観たりする作品によく関わりのあるクトゥルー神話に関して。

    クトゥルー神話の本―恐怖作家ラヴクラフトと暗黒の宇宙神話入門」は、絵図が多くて判り易い。これまで何となくクトゥルー神話に関係しているんだろうな、と思っていた作品を深く理解するきっかけになった。

    同時に「クトゥルー神話事典」も興味のわく項目を飛ばし読む。これも手元に置いておけば、関連した本を読む時に随分役立ちそうだ。

    一般的に宗教とか思想と言われるものが、人の切磋の中で生まれたものとするなら、これは明らかに「造られた」体系。それがとても面白い。