投稿者: momozome

  • 第三版を期待して「エヴァンゲリオン用語事典」を読む

    エヴァンゲリオン用語事典」の第二版を読む。

    第一版との違いは劇場版エヴァンゲリオン(否、ヱヴァンゲリヲン)まで網羅していること。10年経って新劇場版が公開されている昨今。序破急の末はやはり「キモチワルイ」で終って欲しいと思う元祖エヴァ世代です。

    これ、エヴァという物語を楽しむ上ではよくできている。もともと旧約聖書の世界観を相当に取り入れているわけだが、最近、自分で勉強するようになって、その使い方の上手さが判るようになった。もちろん仮説や通説を大胆に取り入れすぎている節もあるんだけど。

    ってゆーか。エヴァから未だ抜け出せない自分を再発見。素直に面白いんです。

  • 奇想の羅列「タイムスリップ・コンビナート」を読む

    笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」を読む。

    電話の主は「マグロ」か「スーパージェッター」か?

    はい。帯の文句からして、なんぞこれ?である。前出の「杳子・妻隠」と同じ芥川賞でも、時代が違う奇書と呼べるような作品。最初の数ページで投げ出そうかと思ったが、たった50ページほどなので読了してしまった。

    現実と幻の境界で揺れる主人公の意識に乗っかってしまうと、何かを理解できたような不思議な読後感を覚える。頭がからっぽだったから良かったのか。少し自分の読書の幅が広がったかな。

  • 杳として杳子は知れず、「杳子・妻隠」を読む

    古井由吉「杳子・妻隠」を読む。

    先週末からまた頭ん中がおかしくて、ひたすら本に逃避行動中。積ん読の中から芥川で未読のものを読みふける。そして、はじめて古井由吉作品に出逢う。

    「作家の読書道」だったか、日経の「あとがきのあと」だったか、作家自身がくり返し読むことの多い作家として、よく名前が挙げる人だな、くらいの認識はあった。出だしの数ページで理解。情景の描き方がばつぐんに上手い。文字からなる文章が頭なの中で美しい映像に昇華していく。素晴らしい感覚にひたりながら読み進めた。

    杳子(ようこ)は深い谷底に一人で座っていた。

    この不思議な出会いからつむがれる、傍から見ればどこかおかしな色恋沙汰。作中で杳子は一言も「美しい」と評されないが、読者は美しいはずだと確信させられる。僕は正直、エロさを感じて萌えた。久しぶりに感情を揺さぶられるような小説体験をした。傑作。

    「妻隠」もまた良し。しばらく古井由吉作品を追いかける。

  • 古井由吉を読む

    今日は週末でもないのにぽっかり時間があって、たまたま届いていた古井由吉の本を手にした。彼の著書は初めて。これが心に響く。絵でも映像でもなく、言葉がこれほど素晴らしい描写をできるものなのかと驚く。風景も、人も、それに関わる全ての事象をこれほど繊細に、何より美しく。感動している。

  • 妄想した放浪「印度放浪」を読む

    藤原新也「印度放浪」を再読。

    先日の「日本を降りる若者たち」を読んで思い出した本。僕はいつも「今」から逃避することを妄想し、僕の(ほんの少しだけの)先達らが「自分探し」をする為にインドを選べた時代をうらやましく思っている。現実は随分と違うらしい。そのことは、ちょっと歳をとった分だけ判るようになった。

    それでも。それでもだ。藤原新也が体験したことへの憧れは絶えないのである。灼熱の中で日陰から日陰を求めるだけに陥る単純な思考。何かを求めたはずの場所で全てを喪失した結果。死と生が密接な関係であると実として感じたこと。それら全てに。

    ただの言いがかりか。嫉妬。これほど人の気持ちが伝わってくる本はめったにない。