1世紀前に想像された「奇想の20世紀」を読む

荒俣宏「奇想の20世紀」を読む。

この本は、19世紀の人々の空想力、想像力が詰め込まれている。絵図写真も多く、膨大な記録は読んでいて最後まで飽きない。読む万博、と言うにふさわしい。ただし、19世紀の、だ。

当時の資料としては非常に面白い本も、著者の問題提起に着眼すると考えさせられる。現代人が未来を空想する力を失いつつあるのだろうか、ということ。産業革命を経験した人類は、溢れんばかりの富みを得、さらに希望に溢れた未来を空想した。

今は?経済資本主義の弊害、環境問題、地域格差、繰り返される紛争。日本では少子高齢化など、明るい未来を空想する材料に乏しいのだろうか。

著者は、あとがきにこう書く。

未来を考える人はいなくなった、と書いたが、いまはもっと極端に、考えるのもいやになった、とすら書きたい気分になる。

僕は逆のことを思う。世界中の人々が手をとりあう平和な未来を空想する。19世紀の空想はこっけいですらあったけれど、それは20世紀になっていくつも実現していることが、この本に描かれているのだから。

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