ゲーデルの哲学「不完全性定理と神の存在論」を読む

ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論」を読む。

完全には、ゲーデルを理解し尽せない。この帰結こそが「ゲーデル理解の不完全性定理」なのかもしれない。

あとがきに、この一文があってずいぶん救われた。彼は、20世紀の数学基礎論、論理学にとって最も重要な発見とされる「不完全性定理」を発表した人で、超有名人だ。好奇心を持って本を追っていると、度々、いや、よく彼の名に出逢う。でも数学者の思索を自分が理解することはできまいと、長いこと避け続けていた。

だから、この本に出逢えて良かった。著者は、不完全性定理を知った後、世界観が根本的に変わったと言う。それほどひとりの人間を感動させた理論。それを記号を使わずに、誰でも理解できるように書くべきだというコンセプトを忠実に守り紐解いてくれた一冊。これぞ本当の意味での入門書。

本書は5章から成る。1章で、ゲーデルの不完全性定理のイメージを、できるだけ単純な論理の組み合わせで理解させてくれる。思考の時間は必要だが、パズルのような構成で判り易い。2章、3章で、彼の人生の軌跡を。4章で、彼の晩年を。5章で、不完全性定理以降、現在に至る進展が書かれている。個人的に、神の存在証明とか最高に面白い。

僕は理屈っぽいとは言われるけど、決して論理的ではない。だから、物事を論理的に組み立て、推し進めることができる人を心底、尊敬している。この本は、表題通り「哲学」的な側面からゲーデルを説明してくれていて、自分のように論理に乏しい人間にも判り易かった。論理的思考、考える力、これをきっかけに養っていきたい。

実は。スゴ本だと散々聞かされる「ゲーデル、エッシャー、バッハ」の20周年記念版(6000円もする)を買ってしまって、読み始めたらなかなか納得(理解)できず、こりゃ、根本から知りたいぞ!と思ったこともきっかけ。高い金払ったから、必死に本も読みますよ。ってか、こういう知識に触れると、はじめて、大学に行きたかったと思う。で、まだ、諦めない。

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