筒井康隆「七瀬ふたたび」を再読。
七瀬は20歳を越え、美少女から妖艶な大人の女に成長している。たえず男からエロティックな妄想で見られるほどの美しさをたたえる。物語は、前回の「家族八景」が人間の裏側を描いた恐怖サスペンスなら、がらりと趣向が変わり、サイキックアクションものとなる。
超能力者ゆえの哀愁を持ちながらも、迫り来る危機と、力強く戦う七瀬の姿が描かれる。正体のまったく見えない相手、謎が謎を、仲間が仲間を呼ぶ。
Webを見ると三部作中で本作が一番好きだという人が多いようだ。NHKでドラマ化もされている。筒井さんのすごさは、描く物語が違えば、書く文体も変わるところにある。七瀬三部作も、七瀬という題材のみが共通項で、それぞれ趣はまったく異なる。本作は筒井エンターテイメントとして、とても面白い一冊。
そして最終章「エディプスの恋人」に続く…
注意。解説は下手に読んではいけない。なぜか最終章にまで触れて書かれているので、ネタバレしてしまう。なぜ、こんな解説を付けたのかは不明。
(関連)
七瀬三部作、家族八景
七瀬三部作、エディプスの恋人
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