「ファイアズ(炎)」を読む。
よく立ち寄る本屋に村上春樹の翻訳本コーナーが特設されていて、まんまと手に取ってしまった。僕がレイモンド・カーヴァーについて知っていたのは、彼が酒飲み(だった)ということだけ。それで選んだこの一冊が凄まじく面白かった。大当たり。
エッセイ、詩、短編からなる。エッセイで彼の人生の片鱗に触れ、彼の「書く」ことについて知り、カーヴァーという人間に強く惹かれる。その後に連なる詩、特に酒に纏わるものが深く印象に残る。そして秀逸な7つの短編。特に「嘘」は、彼の人生における深い悲しみや弱さが伝わってくるようで、心を揺さぶられる思いがした。本人によるあとがきも必読。
村上春樹による解題で、よりこの1冊の価値をかみ締める。
訳者とカーヴァー作品との出会いとなった「足もとに流れる深い川」等、より成熟したヴァージョンを含む七短篇と詩、作家としての来し方を記す秀逸なエッセイ。多彩な魅力を凝縮する自選作品集。
彼は自分の作品をくり返し手直しする人だったらしい。それでより成熟したヴァージョン
という紹介がされている。「嘘」や「足もとに流れる深い川」は別バージョンも読んでみたい。
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