「エロチック街道」を読む。
18の短編からなる一冊だが、本当に同じ著者によるものなの?と驚くほどバラエティに富む。非常に論理的に書かれた「寝る方法」は、これでもかと言わんばかりにくだらない。子供が書いたような切れ切れの文章で紡がれた「かくれんぼをした夜」は、ミステリと感動の基本を貫く一編。「時代小説」で笑い転げ、表題の「エロチック街道」の幻想に浸る。
筒井康隆は言う。どんな物語にもそれに見合った形式がある
。この人の作品は読むたびに新しい驚きがある。
以前、たまきさんから筒井本をたくさん頂いた時(しかも無料で。感謝!)も、彼に対して抱いていた印象を一冊ごとに打ち砕かれた。その中でも、この短編集は傑作中の傑作。本当にバラバラ。それでも筒井さんだ、と思えることもすごい。いやはや、面白かった。
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