重松清「青い鳥」を読む。
先生はうまくしゃべれない。だから、”たいせつなこと”しか言わない――。
本書は中学校を舞台とした短編集。何らか問題を抱えた子供と、吃音の先生との触れ合いの物語。そして先生は言う「(君に出会うのに)間に合って良かった」と。その一編一編が、子供と大人という関係を越え、普遍的な感動を与えてくれる。最初の一編「ハンカチ」を読んだ時、涙が溢れて仕方なかった。
僕は孤独を強く感じることが多い人だった。今はたくさんの人たちが僕を気にかけてくれて、必要な時に支えてくれることを知っている。もし、あなたがひとりぼっちだと思っているなら、まわりにひとりぼっちだと思っている人がいるなら、この本を読んで欲しい。言葉は少なくても、人は人の側にいるだけで、相手を強くすことができる。救うことができる。そう信じることができた。
近年で最も感動した傑作。多くの人に読まれるといいなと思う作品。
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