「短編小説のレシピ」を読む。
短編小説がいかにして生まれるか、その要素は日常の中にある。いや、日常そのものが短編小説なのだ。という主張にのっけから引き込まれ、とても面白い。
向田邦子、芥川龍之介、松本清張、中島敦、新田次郎、志賀直哉、夏目漱石、ロアルド・ダール、エドガー・アラン・ポーを題材としながら、著者の短編小説についての思いが綴られていく。うんうん、と納得しながら楽しく読んだ。
そして最後に、阿刀田高が登場する。自分自身をよくもここまで客観的に淡々と書けるものだと関心する。著者の作品は、聖書に纏わるものをいくつか読んだことがあるだけなので、あらためて他の作品を追いかけてみようと思った。
一番面白かったのは、小説の主人公の視点における二人称の考察。確かに例外的ではあるが、なるほど興味深い。参照として、つい先日出逢ったレイ・ブラッドベリの作品が挙げられていて、なお興味をそそられる。
次の本に繋がる本、に久しぶりに出逢った。
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