山本譲司「累犯障害者」を読む。
少しは知っているつもりで、実は目を背けっぱなしだった事実。社会の裏ではなく一部の真実。この本を読むと、どうしても自分が偽善者であることを認めざるを得ない。
目次をながめるだけでも気持ちが重くなる。
- 序章 安住の地は刑務所だった – 下関駅放火事件
- 第1章 レッサーパンダ帽の男 – 浅草・女子短大生刺殺事件
- 第2章 障害者を食い物にする人々 – 宇都宮・誤認逮捕事件
- 第3章 生きがいはセックス – 売春する知的障害女性たち
- 第4章 閉鎖社会の犯罪 – 浜松・ろうあ者不倫殺人事件
- 第5章 ろうあ者暴力団 – 「仲間」を狙いうちする障害者たち
- 終章 行き着く先はどこに – 福祉・刑務所・裁判所の問題点
全受刑者のうち4分の1が知的障害者、また身体障害や精神障害も多いという。彼らに訴訟能力や受刑能力が備わっているかどうかは疑問である。それでも彼らは「刑務所にいる方が実社会より暮らしやすい」と言う。軽犯罪を繰り返し刑務所に入ることによって生き延びるている。
私達は、障害を乗り越え何かを成しえる人に感動を覚える。一方に、光のあたらないところで苦悩(という言葉だけでは軽すぎる)する人がいる。平等な社会、成熟した社会とは絵空事なのだろうか。
「そして殺人者は野に放たれる」にて感じた思いと葛藤している。
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