時生(トキオ)

時生」を読む。

不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。過去、現在、未来が交錯する物語。

東野圭吾は直木賞受賞をとったから読んだ作家。僕は流行好き。「容疑者Xの献身」をはじめ他にも何作か読んだけどピンと来てなかった。飽きもきたのでもういいやと思っていたところに、読書で信頼のある人から「時生」は面白かったよ、と聞く。読む。久しぶりに涙。

物語としてはありきたりで、しかもその結末がごく初期に予想できてしまう。そうなると読者は期待通りの展開を想像しながら読むわけだけど、その上で終盤にホロリとさせられ、エピソードを読むころには涙をぐっとこらえている自分がいて、少し驚いたりした。

文庫にしては少し厚めだけどスラスラ読める。でも時々本を閉じて自分だったらどうすっかなーとか考えたりした。力もないのに威勢を張る主人公に自分を重ねて、恥ずかしくなったりもした。これを読んで、人はなぜ生まれてくるのか、なんて難しいことを考えることもできるのだろうけど、気軽にサクッと読むと楽しめる一冊。ぜひぜひ。

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