藤原新也「印度放浪」を再読。
先日の「日本を降りる若者たち」を読んで思い出した本。僕はいつも「今」から逃避することを妄想し、僕の(ほんの少しだけの)先達らが「自分探し」をする為にインドを選べた時代をうらやましく思っている。現実は随分と違うらしい。そのことは、ちょっと歳をとった分だけ判るようになった。
それでも。それでもだ。藤原新也が体験したことへの憧れは絶えないのである。灼熱の中で日陰から日陰を求めるだけに陥る単純な思考。何かを求めたはずの場所で全てを喪失した結果。死と生が密接な関係であると実として感じたこと。それら全てに。
ただの言いがかりか。嫉妬。これほど人の気持ちが伝わってくる本はめったにない。
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