今邑彩「よもつひらさか」を読む。
全12篇のホラー短編集。今邑彩の作品ははじめて。良くも悪くも感じたが、全部読んだ。
先ず、良い部分。とにかくキレイな文体で、全体的に淡々としているのに、なぜか独特の味わいを感じる。また、ホラーと一言でくくっても、謎めいたミステリ、猟奇的サスペンス、社会問題を絡めたフィクション、和製ファンタジーと粒ぞろい。
悪い部分は、読み始めたとたんにオチが判ってしまうのだ。そして、それほど怖くない。これはもう個人の趣向と言うしかないのだろうけど。これは読後、ネット上の書評を見ても、評価がまっぷたつに割れている。まあ、オチが判って、なお最後まで読ませる力はすごい。
そんな理由で、ホラー耐性のない人もたまにはいかが?とお薦めできる一冊。ひとつのネタを短編で済ませてしまうにはもったいないかな…そう思わされるような濃縮された魅力ある一冊。
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