艶かしい。
1980年、藤原新也が400日をかけて全東洋を旅したドキュメント。数々の写真と添えられた言葉が心に訴えかける。それは人の生と聖と性。土地々々に食や色の違う生活があり、イスラム教、ヒンドゥ教、仏教など数多の聖があり、その中で売春宿の女が「人間は肉でしょ 気持いっぱいあるでしょ
」と笑う。
この人の写真は、観るとその場所にいるかのような錯覚を起こす。写真を撮りながら被写体がその気になり、その時私の頬を殴ろうと思えばいつも殴れ、笑いかけようとするならいつも笑いかけられる位置において、私は写真を撮りたいと思う
と本人が言う。
この人の言葉は、矛盾する言い方になるけど、散文的で詩的だ。まとまりもなく生々しい。しかし味わいや奥行を感じ、そして美しい。
手に入れて良かった。この先、何度も開き、読み直す本だ。
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