七瀬三部作「エディプスの恋人」を読む

筒井康隆 「エディプスの恋人」を再読。

これまでの「家族八景」「七瀬ふたたび」と続く作品の最終章。ご多分に漏れず、今作も趣がガラッと変わります。しかも表題で、精神分析かギリシャ神話をちょっと知っていれば、あっと言う間にネタバレする状況をつくり、こうも淡々と物語りを進めるかと。こうもファンタジックに昇華させるかと。こうも尻切れかと。

Amazonのレビューに上手いこと言ってるのがあった。続編というものを否定する続編。その通り。三部作をうたい、これまでの作品を知らなければ意味不明。しかし、これまでの作品を読んでいると、なお意味不明。正直、罵倒です。でも、読み直したのは少なくとも3度目。これぞ筒井…なのかもしれない魅力。

今回は、男の猥褻な妄想にさらされた七瀬って、どうなったんだっけ?と思いながら読んだ…ああ、そうでした、そうでしたと。

ぜひ三冊まとめ読んで、どんな物語にもそれに見合った形式があるという筒井魂に触れるべし。期待は必ず裏切られる。だからこそ、名作たる三部作。

(関連)
七瀬三部作、家族八景
七瀬三部作、七瀬ふたたび

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