「ベルカ、吠えないのか?」を読む。
四頭のイヌから始まる、戦争の世紀を描いた小説。しかしイヌが不必要に擬人化されたり、まして一人称で語るようなことはない。現代史を綴る時、ほんの少しイヌにスポットライトをあてると、こんなにも躍動的な小説となるのか。そして新しい視点から歴史が浮き上がってくるようで関心した。
古川日出男の作品は初めて読んだが、淡々とした独特の文体が時(歴史)を次々に進めてくれるのが小気味良い。(短文で句読点と改行が多かったり、カタカナを多用する。個人的には好きな作風だが、ここにも直木賞を逃した要因があるのかな)
イヌよ、イヌ。おまえたちはどこにいる?
日本推理作家協会賞、日本SF大賞のダブル受賞作。一読の価値あり。
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