「パイの物語」を読了。傑作。
沈没、遭難、漂流…。救命ボートに残されたのは16歳の少年と、シマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてトラ。生き残るのは誰か? 衝撃のラストシーンが待つ冒険小説。2002年度ブッカー賞受賞作。
明確に示される命題とそれに対する哲学の深さ、人間と自然の生々しいほどの描写、物語の巧みさと終盤にかけての加速感、期待通りに進みつつ期待を裏切る結末、本当に素晴らしかった。紹介文だけを見るとファンタジーがかった冒険小説風の印象を受けるが、こんな小説に出逢えるから本はやめられないのだ、と言えるほど。この充実した読後感は久しぶり。
可愛いタイトルが付いているけど、子供が読んだらトラウマになりそう。
目にした書評のどれもが絶賛なので気になっていたが、紹介文にそそられなくて放置していた。映画化の動きが本格化してきたのでやっと手に取る。
映画化で最初名乗りを挙げたのは僕が好きなM・ナイト・シャマランだが、「レディ・イン・ザ・ウォーター」を観た後だと降りてくれて良かった。次のアルフォンソ・キュアロンも良さそうだったが降板。最終的にジャン=ピエール・ジュネで決定のよう。「ロスト・チルドレン」という金字塔、「デリカテッセン」「エイリアン4」という暗く幻想的な作風、「アメリ」という美しい映画を生み出した監督に期待が膨らむ。
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