「火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者」を読む。
実に面白い脳科学本。実に面白い。
間違いなく自然科学の本であるのだが、ここで取り上げられた7つの症例、7人の人生は、物語に引き込まれるような引力を感じる。科学を知った上で、想像を超えた世界を体感した。
事故により色を失った画家の観る世界と描く絵。脳腫瘍により極端な健忘症に陥り、注意が途切れると数分前のことも忘れてしまう青年。一瞬で風景を記憶して再現し、二重の人生を背負う男。全盲のまま30年間を生き、術後、視力を取り戻した患者の観る世界…
この世界を認知する力、その価値や意味を多寡で決めるのであれば、僕は健常者と言われる。逆に、この本に登場すは異端と言われる人物達。果たして、僕が見ている世界は本当な姿なのか。
これはすごい。休暇中に行った海辺で黙々と読んだ。
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