「その科学が成功を決める」を読んだ。
帯の「それでも啓蒙書を読みますか?」の問いが刺激的。多くの啓蒙書は化学的な根拠に乏しいことが多い。個人の成功という根拠に頼るのではなく、論理的・客観的にモノゴトを判断することが大事だという、それはもっともだということが主旨。
自己啓発や人間心理で信じられていることを、心理学の研究成果から徹底して検証したいる。とても関心を引く書きぶりで、気楽に面白く読めた。誰かに話したくなるようなネタもちらほらある。とりあえずダイエット(P.177)を実践してみるか。
莫大な数の被験者を対象群・非対象群にわけ、徹底してデータを収集し、客観的に分析する。それが科学だ。幸福、成功、自己実現、決断、子どもの教育、さまざまな分野で、一流科学誌に発表された実験の数々をもとに本当に科学的な「自己啓発」のヒントを具体的にあたえる。
以下に読書メモ。
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効果を否定、もしくは疑問視されていること
- 成功をイメージする
- やる気をおこさせるために報償を与える
- マイナス思考をしないようにする
- 気を引きたい相手にわざと冷たくする
- 集団で考えると個人で考えるより良いアイディアが浮かぶ
- ストレスがたまったら、大声で叫んだりサンドバックをたたく
- 危機的な関係に陥った夫婦間で話し合いを重ねる
- 意志決定を集団でおこなうと良い決断ができる
- 態度でうそを見分けられる
- モーツアルトを聴いて育つと頭がよくなる
- ほめて子供を育てる
- 字のきれいさで能力がわかる
効果を肯定、もしくはその可能性が高いとしていること
- 目標を具体的にしてメリットをはっきりさせ、ノートを付ける
- 親切にすると無意識のうちにお返しを引き出せる可能性が高まる
- 部屋を緑で飾ると想像力が高まる
- 面接のときは、最初に自分の弱みを後半に強みを話すと良い
- 自分から相手に興味を持てば、相手も関心を持つ
- 集団の創造性を高めるには、一人でもいいから時々メンバーを入れ替える
- むかつく経験から得たプラスの面を、あえて考えてみる
- しゃべっている相手の言葉を、別の言葉で言い換えたり相槌を打つ
- 猫ではなく、犬を飼う
- 相手に少し触れることができると、協力的な態度を引き出すのに効果がある
- 人間は「したこと」より「しなかった」ことを後悔する
- 音楽を聴かせるのではなく、楽器を弾くようにする
- 誉めるなら、努力を誉める
- 性格は指の長さにあらわれる
目次
- 実験1 「自己啓発」はあなたを不幸にする―「自己啓発」を実践している人は、何もしない人より幸福度が低いという衝撃のデータ
- 実験2 「面接マニュアル」は役立たずだった!―「ヘマをしたほうが好感度がアップする」という米デューク大学の大規模調査
- 実験3 イメージトレーニングは逆効果―ペンシルヴェニア大学研究室発「プラス思考が人生を暗くする!」
- 実験4 まちがいだらけの創造力向上ノウハウ―オランダでの研究成果「暗示をかけるだけで人は創造的になれる」
- 実験5 婚活サイトに騙されるな―ノースウエスタン大学発「大勢にモテようとする女は敬遠される」
- 実験6 ストレス解消法のウソ―アイオワ州立大の研究では「カラオケは逆効果」
- 実験7 離婚の危機に瀕しているあなたに―「夫婦間の話し合いは効果なし」ワシントン大学調査が下した冷徹な事実
- 実験8 決断力の罠―「集団で行う意思決定はリスクが高い」というMITの実験結果
- 実験9 「ほめる教育」の落とし穴―コロンビア大学発「ほめられて育った子供は失敗を極度に恐れるようになる」
- 実験10 心理テストの虚と実―アテにならないこれだけの科学的根拠
完璧な世界を夢見ても、気分は良くなるだろうが、夢を現実に変える力にはならない。
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