読書にまつわる名言(本音篇)

読書について」ショウペンハウエル著を読んで以来、度々この本を思い起こす。久しぶりに読めば批判的に思う部分もあるかと再読したが、確認と復習となった。

本は他人の思考の結果であること、多読は精神から弾力性を奪うこと、自身で思索することの重要性をくり返し説く。

100年も前に書かれたものだが、情報に溢れる現代を予見していたかのごとき意見に溢れている。痛烈な彼の言葉は、はじめ耳に痛く、やがて僕の中で偉大な財産へと変わった。斎藤忍随による良質で読みやすい訳、あとがきも含め、自信を持ってお薦めできる名著。この本を丸ごと、読書にまつわる名言としたいほどである。

読書は他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。

紙上に書かれた思想は、砂上に残った歩行者の足跡に過ぎない。歩行者のたどった道は見える。だが歩行者がその途上で何を見たかを知るには、自分の目を用いなければならない。

読書しているときは、われわれの脳はすでに自分の活動場所ではない。それは他人の思想の戦場である。

(追記)
読書以外に興味深い話題も多い。例えば、新刊を貪り読む民衆の愚かさを憂う部分がある。最新の情報は以前のものを改善した結果であると思い込むことから起こる。僕のインターネット依存もこれに近い。また、活字の大きさについて苦言を呈している。視力の保護のために出版社は活字を大きくせよとある。僕が持っているのは1960年出版の岩波文庫なのだが、苦笑してしまうほど字が小さい。

(関連)
読書にまつわる名言(自嘲篇)

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