月: 2007年3月

  • こころの対話 25のルール

    こころの対話 25のルール」を読む。

    書いてあることはいちいちもっともで、評価が高いことも頷ける。文体用例が子供っぽいので物足りなさも感じた。実際に悩んでいる人には、このくらい簡素に書かれていた方が良いのか。今悩んでいる人、またはコーチングについて興味があり、子供にコミュニケーションを教える立場の人に向く。

    本書の1/3が「聞く」ことに関して語られる。いかに人は他人の話を聞いていないか、耳の痛いところだった。「アクティブリスニング」という手法は役に立ちそうだ。

  • SYNC-なぜ自然はシンクロしたがるのか

    SYNC-なぜ自然はシンクロしたがるのか」を読む。

    紹介文を読んで惹かれるも、似非科学か雑学本の類だと思ってた。著者は、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学を経て、コーネル大学応用数学科教授、とちゃんとした科学らしい。同期現象=シンクロについて、専門ではない人にも判るように書かれいる本。

    ホタルの同時発光、心臓ペースメーカー細胞の同調、脳波の周波数引き込み、概日周期などの生物的なもの。ホイヘンスの振り子、レーザー発光、惑星間の運動の同調などの物理的なもの。交流発電機の同調や橋のゆれなど工学的的なもの……具体的な例に富み、研究者ではない一般人も楽しめる。興味がある人には一読の価値あり。

    人の精神においても、同期現象ってのはあるのだろうか…真剣に考えてしまう。

    紹介文を紹介。これだけ読むとウサン臭いかもしれないが、科学本。

    無数のホタルがシンクロして光るのも、ポケモンを観ていて子供たちが発作を起こしたのも、「SYNC(=同期)」のせい。このSYNCをめぐる驚くべき科学上の成果を、非線形科学の第一人者が絶妙な比喩を駆使して物語る。

  • 沖で待つ

    沖で待つ」を読む。

    古本屋で安く、芥川賞受賞作(第134回)だったので手にとる。特筆するほど良さは感じないけど、読み手の心を掴むための書き出し、高揚させる展開、静かな終盤。一応、自分の好みではあった。この10年内の芥川を暖かい目で読めるようになったこの頃。ある意味成長と言いたいところ。

    何十年も前に書かれて今に残る本は名著に決まっている。こうやって新しい人の作品を読んでみるのも、たまには、楽しい。年間に短編2つなら苦にもならないし。

  • キリンヤガ

    キリンヤガ」を読む。傑作。

    絶滅に瀕したアフリカの種族、キクユ族のために設立されたユートピア小惑星、キリンヤガ。楽園の純潔を護る使命をひとり背負う祈祷師、コリバは今日も孤独な闘いを強いられる…

    個人と民族、民族と国家。歴史と革新。人間と科学。描かれるエピソードがすべて、今の自分の世界にも通じ、葛藤を覚えながら読んだ。作中でコリバがキクユ族に伝わる寓話を何度も語るが、この小説自体がSFを用いた寓話なのだ。

    これほど没頭した小説も久しぶり。読者に多くを考えさせ、大きな感動や感傷を与える、そんな素晴らし一冊だった。

    長編オムニバスで、10の短編から成っている。試しに読むなら、表紙絵になっている「空に触れた少女」と、表題作でもある「キリンヤガ」を推す。短編として気楽に読み進むこともできるので未読の方はぜひ。

    余談。僕はプロローグを先に読まない方が楽しめたのではないか、と思った。

  • 蚊はなぜ人の血が好きなのか

    蚊はなぜ人の血が好きなのか」を読む。

    雑学的好奇心から手にした本だったが、蚊の生態を詳細に紹介し、伝染病、公衆衛生など幅広い研究を報告している啓蒙書。雑学の枠を超えて面白かった。

    原題は「Mosquito: A Natural History of Our Most Persistent and Deadly Foe」で、僕レベルの訳でも「蚊:私たちにとって最もしつこく危険な敵の博物学」とかになるかと。この邦題をつけた人(または出版社)は、本書の価値を落としちゃってる。